成功者といえば、
医者?弁護士?ノーベル賞受賞するような研究者?大企業の経営者?
私自身もきっと多くの人と同じく、そんな職業の人たちを思い浮かべました。
そして、医者にせよ、弁護士にせよ、その職業に就いて活躍する道筋はある程度決まっていると思っていませんか?
高校まで優秀な成績を収めていい大学に入り、大学在学中に資格試験に合格したり、新卒採用試験でいい企業に入社したり。
成功の道筋として思い描く道はみんな似たり寄ったりな一方で、今は"超"がつくほどの個人社会。
AmazonやNetflixでは、その人の購買履歴/視聴履歴から分析したその人だけに向けたおすすめを表示したり、趣味も細分化されて、社会的にも多様性が叫ばれています。
つまり、一人一人の個性が違うのと同じく、成功への道筋も無限にあるはず。
本書『Dark Horse「好きなことだけで生きる人」が成功する時代』では、そんな矛盾を挙げつつ、いわゆる王道の道筋ではない方法で成功を収めた人にスポットライトを当てています。
タイトルである〈ダーク・ホース〉とは、予想外の勝者という意味。
ここで描かれる成功体験は王道ではないけれど、再現性があります。
パッションではなく、日々の小さなモチベーションを探す
成功の秘訣としてよく挙げられるのが、情熱。
ですが本書では、成功に必要なものはそうした大きなものはなく、自分の中の小さなモチベーションを探すのが第一歩であると述べられています。
「私は何をする時にワクワクするのか?」
小さなモチベーションであれば探すのも難しくない。
複数ある場合もあるから、それらを掛け合わせることで自分にフィットした目的を見出すことができる、ということです。
目的のために日々行動するのではなく、自らの充足感を満たすために行動する
本書の特徴として、本書でいうダークホースの人たちに多くインタビューをし、その事例が豊富に掲載されていること。
成功者というのは、有名で歴史に名を刻むような人だけを指すわけではありません。
一見、地味でマイナーな職業や経歴であっても、その人が好きなことを突き詰めて夢を実現していればダークホースなのです。
その中でも特に印象的だったのが、著名な音楽技師から大学教授になった女性。
モラハラ的な旦那さんと離婚。
学歴も職歴もお金もない彼女は、好きな音楽業界に身を置くことを目指し、音楽スクールの受付職から見習い職を得ます。
王道パターンでは音楽スクールを修了してキャリアを得るんでしょうが、彼女は受付スタッフという立場から努力を重ね、最終的にはプリンスの名作『パープル・レイン』に音楽技師として参加。
その後、自分の興味に従い大学に入学、最終的には教授となります。
ダークホースたちが自分の選択した道に全力で挑めるのは、それぞれの目的意識が明確だからだ。(P148)
「人の強み」と「やりたいこと」は、基本的にまったく別のものである。(P162)
つまり大切なのは、
- 目標を実現するための方法や道筋は一つではない。
- 自分に合った方法を見つけるためには、自分自身をしっかりと理解していなければならない。
ということを理解し、実行に移すこと。
才能は、特別な人だけが持っているものではない
- 野球の大谷選手
- 歌手のAdo
- 宇宙飛行士の若田光一さん
世間で"才能がある"と言われる人たちです。
そういう声を聞くたびに、〈才能があるのは一握りの人だけで、そういう人たちが成功するんだ〉と思ってしまいます。
ですがそれは大きな間違い。
みんなそれぞれ才能を持っているんです。
オーディションに受かれば才能があるのか?
美女コンテストや大学入試、オーディション。
才能を開花するための登竜門とされるこれらの試験は、客観的に結果が決められるのではありません。
その年の応募者の数や属性によって調整が入ります。
なので、第一志望の大学入試に落ちたからって頭が悪いということでもないし、オーディションに落ちたから実力不足ということでもないのです。
IQテストの点数にこだわらない
- 総合得点の高いA君
- 総合得点は低いものの、空間把握の分野は点数が高かったB君
この二人が同じクラスにいた場合、トータルの点数の高いA君が「頭がいい」「才能がある」という評価になる可能性が高いと思います。
でもそれって正しいのでしょうか。
今の受験システムのことを考えると、そうやって点数や順位をつけるのは仕方のないことだと思いますが、少なくとも家庭の中では総合点数の低さをいさめるのではなく、その子の持つ〈得意〉や〈好き〉を認めてあげられる親でありたい。
「大人になったら何になりたい?」はNG
子供に「大人になったら何になりたい?」を問うのはよくない、と述べられています。
子供の頃の夢を大人になっても持ち続ける人の方が圧倒的に少ないはず。
大人だって、好きなことや目標は日々変化します。
成長過程の子供であれば、なおさら。
でも、子供の頃から将来の夢を口にさせていると、いざ大人になったときに違う自分でいると、〈果たせなかった夢〉として認識されてしまいます。
この本を読んでやること
- 手帳で日々の記録をして、自分の小さなモチベーションを見逃さない。
- 娘を育てるときに、決めつけるような言葉がけをしない。
- 好きなことは、可能な限り毎日時間を費やす。惰性で取り組むのではなく、興味の方向や得て不得手を確認しながら。