チャンスをつかみ、活かして、成功につなげられる人はどのような人だろう。
プロ野球選手の大谷選手、最近アカデミー賞でオスカーを手にした山崎貴監督。
このような人たちは、才能や運だけで成功を手にすることができたわけではなく、セレンディピティの働きのおかげだったのかもしれない。
では、セレンディピティとはなんだろうか。
セレンディピティを定義すると「予想外の事態での積極的な判断がもたらした、思いがけない幸運な結果」となる。セレンディピティは世界を動かす隠れた力であり、日々のささやかな出来事から人生を変えるような事件、さらには世界を変えうるような画期的発明の背後に常に潜んでいる。(序章)
そう聞くと、自分にはあまり関係のないことのようにも感じるが、セレンディピティが起こるのは何も歴史的事件や世界的に有名なことばかりではない。
私たちの人生が一変して良くなったり、長年の夢が叶ったり。
そんな嬉しい出来事の影にもセレンディピティが隠れている。
では、セレンディピティを逃さない人にはどんな特徴があるのだろうか。
まさに本書ではその秘訣を、過去の事例を豊富に取り上げながら10個の章により説明している。
点と点を結びつける能力
本書を通じて、「点と点とを結びつける能力」が重要なスキルとされている。
後から振り返った時に「あれは潜在の一隅のチャンスだった」と把握することは容易だが、今目の前の出来事がチャンスだと理解し、それを自分の成功につなげることは意外と難しい。
では一体、点と点を結びつける能力はどうやって向上するのか。
まずは"点"に気付けるようになる
チャンスが転がっていたところで、それに気付かなければつかみようがない。
気づくためのヒントとしてあがっていたのは、
- 積極的に人と話す(カフェで並んでいる時、セミナーの休憩中、SNSなど・・・)
- マインドセットを改める。【例:「私には無理」ではなく「まだ上手くできないけれどもっと上達する」】
- さまざまな物事に対して好奇心を持つ。
- 「なぜ?」と疑問を抱いて調べてみる。
"点"となる種をまく
チャンスは待っているばかりでは、なかなか舞い込んでこないものである。
そんな時は、ただ待つのではなくチャンスの種を巻いてみるのも手だ。
- SNSで自分の近況や悩みを発信する
- 興味のある分野の学者・教授の連絡する
- 就職したい会社の役員に連絡する
点を他の点と結びつける
最後に、点と点とを結びつけて大きなチャンスに変えるのだ。
結びつけるために必要なのはこちら。
- 専門分野と、初心者として学び始めた分野と、さまざまなレベル感・分野の経験・知識を持つ
- さまざまな人の話に耳を傾け、新たな視点や気づきを得る
- 別の分野に当てはめてみる
つかんだチャンスを活かす力
目の前に転がっているチャンスは、それだけでは成功にはつながらない。
チャンスを活かす必要がある。
では、チャンスを活かすために必要なスキルとはなんだろうか。
本書では粘り強さと賢さであると述べられている。
粘り強さには、自分の意識を変えることが求められる。
私たちは、成功のためには努力が必要だと思っている反面、失敗するとなぜか「努力が足りなかった」ではなく「才能がなかった」「向いてない」と考える傾向にある。
そして、そこで諦めてしまう。
だが実際には、そうではない。
単に自分自身の努力が足りていないだけで、あと少し努力すれば実るかもしれない。
普段から、失敗に直面した時に才能や適性のせいにしないこと。
簡単なようで、意外と難しいけれど粘り強さを発揮するには欠かせない。
組織の成長にも点をつなぐ力が求められる
セレンディピティは個人だけでなく、組織にも当てはめることができる。
点と点をつなげて大きな成功を手に入れるためには、
- 部門間の交流を促す
- 外部の人材を採用し、新たな視点を取り入れる
- リーダーシップではなくコミュニティシップを重視する
ということが大事になる。
人は一人では成功できない。
これは、当然組織にも言うことができる。
優秀な人が一人いるだけの組織は、組織としては弱いのだ。
本書でも引用していたが、スティーブ・ジョブズの有名な言葉に「自分の成功はMacでもiPhoneでもなく、それらを生み出したチームを作り上げたこと」というものがあるそうだ。
ジョブズもまた、チームづくりの大切さを認識していたことがよく分かる。