私たちは、食べるものをどのように決めているのか。
私の場合は毎日、冷蔵庫の中身を見ながら
- 「このメニューならすぐ作れる」
- 「最近和食が続いていたから残っている鶏肉を使ってカレーにしようかな」
なんて思いながら決めています。
「お肉美味しそう」
「疲れたからケーキ食べたい」
食べたいものに限りはありません。
そんな食欲はどういうメカニズムで働いているんでしょうか。
実は、人間だけでなく哺乳類・昆虫などの生物は、誰に教えてもらったわけでもなくその生物にとって必要なタンパク質の割合になるよう、食べ物を選んでいるそう。
今回読んだのは、『科学者たちが語る食欲』。
本書の冒頭で、とある観察結果が紹介されています。
興味深いステラの食事内容
ステラという名のヒヒに自由に食事をさせ、その食べたものを観察したのです。
品目は90にも及び、ステラはそこから自らの意思で食べ物を選びました。
30日間観察したところ、ステラはどんな組み合わせで食事を取ったとしても、食事中のタンパク質/脂肪・炭水化物比は「タンパク質1に対し、脂肪/炭水化物5」の比率でした。これは、メスのヒヒにとって理想的な栄養バランス。
他の観察・実験でも、昆虫や動物、そして人間でも観察したが、同様に、さまざまな種類の食事を提供した場合でも、その生き物にとって理想的な栄養バランスになるように食べていました。
もちろん、その比率に合うように予め計算されて食事が出されたわけでもないし、昆虫もヒヒも誰かから教えられたわけでもありません。
本能で分かっているんですね。
人間の場合の理想の食事
タンパク質の理想的な割合は15%。
低タンパク質の食事を摂ると、体がもっとタンパク質を摂取しようとするため食べ過ぎてしまい、結果的に脂肪・炭水化物の摂取が増え、体重増加につながるんです。
つまり、高タンパクな食事であれば結果的に脂肪・炭水化物の摂取を抑えられ、体重を減らすことにつながるということ。
私自身、食欲がタンパク質の摂取量に影響されているとは全く想像していなかったので、本書を読んでまさに目から鱗でした。
ただ、高タンパク質の食事には、マイナス面もあることも忘れてはいけません。
低タンパク質の食事のほうが、寿命を長くする効果があることが分かっています。
低タンパク質の食事だと、成長や繁殖が抑えられます。
成長や繁殖にはタンパク質が欠かせません。成長や繁殖は望ましいことのように聞こえますが、引き換えに体の組織を大きく傷つけてしまい、寿命を短くすることにつながるのです。
沖縄の例を見てみましょう。
よく知られている通り、沖縄の人たちの平均寿命は世界一。
沖縄の食事バランスを見てみると、タンパク質が9%と非常に低く、反対に炭水化物の比率は85%、脂肪はたった6%。
母親の食事に占めるタンパク質の割合が子供に影響する
子供は母親のお腹の中で約10ヶ月過ごすので、母親の食事内容が子供に影響すると聞いても不思議ではないですね。
実験の結果でも、母親の食事が高タンパク質かどうかによって、子供が
- 血圧
- 内臓脂肪
に影響を受けることが分かっているそうです。
高タンパク質/低炭水化物でダイエット
貯蔵された体脂肪の燃焼で生成されるケトン。
低炭水化物ダイエットが注目されて久しく、ケトンを知る人も多いかもしれません。
低炭水化物状態になると、体脂肪の燃焼が加速されます。
それを踏まえると、高タンパク質/低炭水化物の食事は、ダイエットにも好影響があるように思われます。
ただ、炭水化物は生命活動に欠かせません。
あくまでも過剰に摂取していた炭水化物を減らすにとどめ、極端に炭水化物を減らすことは避けましょう。
またケトンが生成される状況というのは、炭水化物がかなり少ないことを示しており、人体としては緊急事態。
恒常的に炭水化物を制限してケトンが生成されていると、体に不調が生じることも報告されているので、注意深く行う必要があります。
体重を少し減らすことよりも、健康でいることの方がよっぽど大事ですからね。
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これから心がけていくこと
- 1日の食事の中で、タンパク質の摂取量を増やす。
- 日々の食事だけではタンパク質が不足しがちなので、プロテインを飲む。